昔からある一般的な葬儀の形では、なかなか通夜・葬儀のときに故人とゆっくりお別れすることができないのが現状です。
私も、かつて母を亡くし、自宅葬を行ったときがそうでした。本来、通夜は家族や親しい人が故人との最期の時間を過ごすためのもの。しかし、仕事の都合などで葬儀に参列できないからと、通夜だけに訪れる人が多く、その人たちを接待するので精一杯でした。
そして次の日には葬儀で、あっという間に火葬され、「きちんとお別れできなかった」という悔いだけが残ってしまったのです。
私のように感じた人は少なくないようで、伝統的な形式に疑問を感じて、近年注目されるようになったのが「家族葬」です。
「身内だけでこじんまりと行いたい」と考える人が増え、家族を中心にして比較的小規模に行う「家族葬」が求められています。しかし、必ずしも規模が小さいから家族葬なのではありません。
たくさんの会葬者を呼んで「家族葬」を行う場合もあります。つまりは、ただ宗教儀礼を淡々と行うとか、会葬者の接待に追われるというのではなく、家族が主体となって葬儀の内容や料金を決め、故人と家族がきちんとお別れできる形にすることが家族葬の本質なのです。
会葬者を少なめにする傾向があるのは、ゆっくりとお別れしたいというのはもちろん、ただでさえ看護や心痛で疲れている遺族の負担を減らすためという理由も大きいようですね。
実はこの家族葬、行われているのは核家族が多い都会が中心。なぜかというと、昔からの慣習が残っている地方では、伝統的な形を崩すのは周囲も良い顔をしないことが多いからです。
都会での葬儀の約8割が、現在は家族葬だといいます。大切なのは形式ではなく、故人を偲ぶ気持ちであり、故人と家族が悔いを残さないことだという考え方が広まってきた証拠と言えそうですね。